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idmatch : 足のアーチを基準に設計された自転車専用フットベッド

バイクフィッティングシステム“idmatch”からサイクリング専用フットベッドが発表されました。トップライダーからホビーライダーまで7万人以上のサイクリストを分析、足のアーチを基準に設計された初のサイクリング専用フットベッドです。

開発の背景や魅力について、開発者のひとりルカ・バルトリ氏に語ってもらいます。

フットベッドの役割

Q1.スポーツの競技によって理想のフットベッドは異なりますか?

A:足は形状、構造そして機能の点からも複雑な器官です。動きと安定を生み出すと同時にバランスを取る機能を兼ね備えています。

足が抱えている問題は同じであっても、スポーツによって解決方法が異なってきます。フットベッドの違う箇所で違う工夫が必要になります。

たとえばマラソンでは、足の接地する起点はかかとです。そこから足の方向性が決まるので、マラソン競技用フットベッドはかかとを起点に考えます。つまり、矯正はフットベッド後部が行ないます。一連の流れは

  1. 接地

  2. 矯正

  3. ステップを正しく踏み出す

    となります。また、サイクリングでは、異なる解決策が必要です。

Q2.サッカーやテニスなど、次の瞬間にどの方向に、どの程度の速さで動くかが分からないスポーツはどうでしょうか?

A:ランニングやサッカーは同じです。テニスはサイクリングとランニングの中間的なスポーツです。80%は足の前方に体重をかけてパフォーマンスを発揮します。20%は足全体が接地しています。スライディングも頻繁に行ないます。スライディングは独特の動きで、別の対応が必要になります。

Q3.熱成型式フットベッドはスキーブーツ用としても、サイクリング用としても人気があります。なにか意見がありますか?

A:サイクリングにはもっとも意味のないソリューションです。スキーで求められるのは、バックルを締めて足を固定するブーツ内で快適性と、足の方向性の精度を高めることです。足の問題を直すことを目標にしていません。

つまり、足の形に合わせて成型しても問題は解決しません。扁平足の場合、成型したフットベッドはフラットなものになります。結果、問題を解決するのではなく、足をサポートしないフットベッドができあがります。

長くても1分40秒ほど機能すればいい競技スキーは、滑り終えればすぐにバックルを緩めます。自転車選手の場合はペダリングを1ヵ月に50万回繰り返します。したがって、小さな問題が大問題に発展します。サイクリングとスキー、あるいは100mダッシュなどの競技時間が短いスポーツの違いはここにあります。

たとえばボート競技はサイクリングに近いです。足は固定されています。アメリカンスタイルのフットボールはランニングに近いです。ラグビー、バスケットボールも同じカテゴリーです。おおむね走っています。テクニック的には陸上競技と異なるものが要求されますが、動きは似ています。方向性が違いますが、似ているのです。

idmatchフットベッドの特徴・意味合い

Q4.他のスポーツ用のフットベッドと比べ、どのような違いがある? なぜ、アーチを基準にするの?

A:サイクリングの場合、目的は快適性だけでなく、足の問題を矯正してペダリング時の前後方向のプレーンを安定させること。

ペダリング中に体重をかけるのは前部のみ。アーチを矯正、正しく支えること。足前方が機能し、足だけでなく、ヒザ、腰の動きのすべてが修正されます。自転車に乗る身体全体の動き、フィッティングに深く関連する問題なのです。

大半のサイクリングシューズは、アーチ部分の機能を確保する正しい支えを備えていません。それが腱のストレスやシューズ内での足の良くない動きにつながっています。パフォーマンスと快適性を向上させるには、シューズのサイズではなく、足のアーチを基準に作る必要がありました。

idmatchでの測定を通して世界中から集めた統計に基づき、足のアーチのさまざまな長さと高さを基準にしたプロトタイプの製作からスタートしました。ペダリング中のかかととアーチを可能な限り安定させるために、外骨格構造を持つ専用のバックサポートを開発することで、シューズ内で足を安定させ、足の重量とパワーを可能な限り足全体に分散させることができます。

外骨格構造サポート

Q5.どのようにフットベッドを選べばいいのですか?

A:歩行時と異なるストレスを受けるペダリング時の足のために、アーチを5つの長さ、3つの高さ、合計15種類に分類しました。適したサイズは、7万人以上のデータをベースに作成したアルゴリズムを使うクリートフィットのテストでチェックします。

シューズ選びでは、足の長さや幅を基準にしますね。ですが、足の長さが同じでもアーチの長さや高さが違うため、ペダリング時に受けるストレスも、足の反応も大きく異なります。そのため、最適なインターフェースを用いることでアーチが完全に機能を果たすサポートが必要なのです。
高さについては、以下の3つがあります。

  • 扁平タイプ:アーチが低く、足とシューズの接触面積が大きい。走行中にアーチがたわむため、自然な動きを大きく変えない範囲のサポートが必要です。

  • 標準アーチ:標準的でシューズに適合しやすいアーチ形状です。横方向への適度なサポートは必要ですが、追加のサポートは不要です。

標準アーチのイメージ図
  • 高いアーチ:アーチは高く、わずかに短めです。踏み込み時と引き上げ時でアーチの高さと長さが大きく変化するので、それを計算に入れた適切なサポートが必要です。

アーチの長さについてはXS, S, M, L, XLの5サイズを準備しました。
これらの高さ(3種類)と長さ(5種類)の組み合わせで15種類になります。

アーチ:3種類の高さ

Q6. 従来使っているフットベッドと比べて、物足らないように感じる場合は?

A:正しい評価を出すためには、時間をかけて走行距離を稼ぐ必要があります。結論を急ぐと、以前のフットベッドが判断の基準となるので、新しいフットベッドに対する違和感が不快だという答えになりがちです。これは脳の問題です。2カ月間をフットベッドなしで過ごした後、新しいフットベッドを使ってみてください。

Q7.足指の型が成型されたフットベッドがあります。それについてはどうでしょうか? 足を安定させるものでしょうか?

A:サイクリング中に足の長さは変化しつづけます。つまりパワーを加えると足は長さを変えます。足指の型をつけても、それによって足が安定するということは起こらないのです。

Q8.idmatchフットベッドはサイクリングシューズの内部形状に合っている、ということですか?

A:はい。サイクリングシューズを調べた上で設計したフットベッドですから。サイクリングシューズの多くのメーカーは、同じモールドを使っています。つまりシューズ内側の形状はほぼ同じなのです。

ほとんどのサイクリングシューズは中央部分が非常に細いので、フットベッドの幅も狭い必要があります。それに合った形状のフットベッドでないと、シューズ内でフットベッドが変形してしまいます。

Q9.フットベッドをテストしてみるとS2(アーチ長は短め、高さは中間的)でしたが、M3(中間的長さで高いアーチ)を使ってみました。そうすると足がより安定するのを感じました。間違ってますか?

A:いいえ、間違ってはいません。おそらくあなたの足は中間エリアにあるのでしょう。どうしても明確に割り切れない部分があります。実は私の足もそうなのです。ピッタリ来ない場合、目盛りを1つ上げてみることは試してください。

ヨーロッパでは多くのサイクリストが足の問題で悩んでいます。このフットベッドは、足の問題を解決したい人だけでなく、ただ快適なシューズを探している人の役にも立ちます。さらに、自転車のよりよいフィッティングを求める場合、正しいフットベッド選びは避けて通れない工程です。

idmatchフットベッド

idmatch クリートフィット取扱店
https://www.podium.co.jp/brands/idmatch-bikelab/shop


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