東京発! サイクリング コース11 信州・木崎湖自転車キャンプ

目次

map オゾングラフィックス

関東近郊などとエリアを限らずに、思いっきり遠征するコースを紹介しよう。信州はご存知のとおり山国であり、峠ばかりだが、初心者でも走りやすく、それでいて抜群の達成感を得られるコースがある。古くからサイクリストに愛されてきた北信の「嶺方(みねかた)峠」は、標高こそ1000mを超えるが、麓からの勾配は緩い。そして北アルプスが眼前に迫る絶景が魅力だ。この峠越えを軸にして、爽やかな空気を味わいに出かけよう。

鬼無里街道

鬼無里街道(国道406号)は、心が安らぐ里山風景の宝庫。鬼がいない里、と書くが、天武天皇が計画した信州への遷都を、鬼無里に住む鬼が阻んだと伝わる。

 

コース情報

走行距離 約87km

長野駅→(約20分・約2km)→善光寺→(約110分・約19km)→鬼無里(きなさ)→(約100分・約16km)→嶺方峠→(約60分・約10km)→佐野坂峠→(約50分・約12km)→木崎湖キャンプ場→(約90分・約10km)→小熊山 (パラグライダー場)→(約60分・約18km)→信濃大町駅

総距離は長めだが、木崎湖で一泊して行程を分割すれば時間の余裕はたっぷり。嶺方峠はぜひ体験してほしいが、小熊山への林道は険しいので、上りが苦手ならパスしよう。

コースデータはこちら

信州・木崎湖自転車キャンプのルートマップ

嶺方峠まではシンプルに国道406号を進む。健脚なら戸隠の大望峠を組み込んでもいい。白馬側の国道148号はやや交通量が多いので並行する細道へ

 

長野駅から伝説の峠へ

スタート地点は、JR北陸新幹線で速達できる長野駅を選んだ。もちろん、せっかくの信州で日帰りはもったいない。嶺方峠を越え、白馬を南下していけば、高原に3つの湖が連なる仁科三湖だ。その一番南、木崎湖に素敵なキャンプ場がある。そこで夜を明かせば、走りの達成感に非日常感が加わって、旅としての完成度は爆上がりだ。

かがやき

東京駅から長野駅までは、最短でわずか約80分。始発の「かがやき」を利用すれば、朝7時台に信州だ

新幹線に輪行袋

3列シートがある新幹線は、その裏なら長めの輪行袋も余裕で収まる。後端のシートを確保しよう

長野駅

和のデザインで迎えてくれる長野駅。すでに標高が360mもあるため、風の心地よさが東京とは違う

善光寺

1400年の長きにわたって信仰を集める信州善光寺。江戸中期に建てられた本堂は国宝。門前町のにぎわいも見どころ

裾花大橋

国道406号を淡々と西へ。長野市街を出る序盤の勾配がやや急だが、裾花大橋を渡って鬼無里が近づくと穏やかな道筋が続く

旅の駅 鬼無里

走り出して20km、ちょうど休みたくなるポイントで待つ「旅の駅 鬼無里」。十割そばがうまい。可愛らしい鬼女パネルも登場

鬼無里まで進めば、すでに標高680m。だから、標高1100mの嶺方峠も「あと少し」といった感じだ。距離をかけて標高差を詰めていくので勾配は穏やか。だから、「上りは苦手」という人にも体験してほしい峠だ。嶺方峠を越えてしまえば、木崎湖まで下り基調で一気に快走……できるが、少しもったいない。旧道をのぞきながら、のんびり進もう。木崎湖は標高がまだ760mもある。湖面を渡る風がひんやりと冷たく、夏のキャンプには最適だ。

峠道

鬼無里の集落を過ぎると、本格的な峠道の始まり。勾配はおおむね5〜6%なので、ゆっくり進めば息も切れないはず

白沢洞門

白沢洞門を抜けると峠だ。それまで見えなかった北アルプスが驚くほどの近さで一気に迫る。トンネルが額縁のようでドラマチック

佐野坂峠

塩の道・千国街道(中部自然歩道でもある)の佐野坂峠は旧街道の風情がすばらしい

木崎湖キャンプ場

サイクリストにも人気の木崎湖キャンプ場。標高があるので天然のクーラーといった涼風に包まれる。駅と街が近いので、気軽に利用できる

ソロキャンプスタイル

ソロキャンプの標準的なスタイル。イスはなくてもよいが、あれば屋外で心地よく寛ぐことができる

キャンプ道具

今回使用したキャンプ道具。ソロ用のコンパクトな製品を選べば、重量は4kg台に収まる

モツ鍋

食材は大町市街のスーパーで調達できる。オッサンらしく(?)夕食はモツ鍋。善光寺で買っておいた七味が大活躍

ゆ〜ぷる木崎湖

キャンプ場からは、入浴施設「ゆ〜ぷる木崎湖」も近い。館内には2021年3月にアウトドアショップがオープンし、ますます便利になった

2日目は、木崎湖を見下ろす小熊黒沢林道を上り、ほど近い信濃大町駅から帰路についた。それだけのシンプルな小旅行だったが、全身の血が入れ替わったかのように晴れ晴れとした気分に包まれた。心身の健康維持にも信州はおすすめだ。

小熊黒沢林道

キャンプ道具を撤収する前の身軽な状態で小熊黒沢林道へ。標高1300mのピークにパラグライダー場があり、木崎湖を俯瞰する展望が圧倒的。信州屈指の絶景ポイントだ

 

使用バイク:stijncycles Peg

あなたに寄り添う万能スポーツバイク

ペグ

20インチ(451)という車輪を備えながら、単に「小径車」とくくれない圧倒的な走行性能と実用性を併せ持つ

stijncycles Peg
価格:19万3600円(シングルスピード完成車)、21万7800円(ロード・フレームセット+ホイールセット)、35万2000円(ロード・105油圧ディスク完成車)
問:ポディウム

「ステインサイクルズ」は、ベルギーのロードレース一家に生まれ、自身も選手として活躍したステイン・デフェルム氏が興したブランドだ。選手を引退した後は自転車デザイナーとして多くのモデルに関わっており、特にパシフィックサイクルズ・バーディーの流麗なモノコックフレームを手がけたことは熱心なファンに有名だ。

そんなステイン氏の理想を形にしたのが「Peg」。外形的には小径車というカテゴリーに入るスポーツ自転車だが、生粋のロードバイクのように快走でき、ツーリングに欠かせない安定感も高く、ふだん使いの気軽な足にもなる意欲的なモデルだ。用途を決めるのは乗り手次第であり、どんなニーズにも応えることができる。

ペグ

峠越えを含むキャンプ旅を体験したPegは、シングルスピード仕様

ペグ

ペグ

重量7.4kgという軽さ(キャリア込み・ペダルなし)と、カッチリしたフレーム剛性が印象的

ペグのキャリア

軽量アルミキャリアも秀逸

ペグの輪行形態

ハンドルをステム・ポストごと外し、シートポストを目一杯下げ(それができる設計がすごい)、前輪を回転させるだけでスリムな輪行形態に。折りたたみ自転車の顔色を失わせる意欲作だ

 

 

今回ピックアップした魅力いっぱいのコースだけでなく、他にもたくさんのコースを紹介しているサイクルスポーツ特別編集「東京発! サイクリング」は、都民や近県にお住まいで、自転車通勤や休日ライドによってサイクリングに関心が高まっている方へ贈るコースガイドです。都心から自走圏内、もしくは輪行で1時間〜2時間ほどでアクセスできる関東近郊での、超おすすめなサイクリングコースを紹介します。巻頭では、関東を代表する5つの自転車道を徹底リポート。輪行の方法もわかりやすく解説します。日帰りから一泊二日で楽しめる、自転車をとおした「大人の遠足」を提案します。

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